ディープインパクト、どうだろう。こんなに盛り上がっちゃうと負けたりしてね。ちょっとそれを望んだりしているが…。我々は歴史が塗り替えられる、のではなく、歴史がはじまる瞬間を目にすることになるのかもしれない。ディープインパクトの勝利によってはじまる歴史。今後何十年と繰り返されるであろう、賞賛と比較と疲弊の歴史。我々がシンボリルドルフサクラローレルグラスワンダータイキシャトルスペシャルウィークサイレンススズカ…数多の馬たちの記憶に込めた、興奮と鳥肌と疲弊の歴史。それは決して消えない傷に似ている。だがそれを経ないことに我々は前に進めはしない。ぼくは恐れている。目の前で歴史がはじまることを。
できれば、テレビのテロップに表示されて「あ、そうなんだ…」とはじめて知るくらいのテンションで凱旋門賞を取って欲しい、という気持ちがある。そういう歴史のはじまり方が良い。ただのイヴェントとして華々しく処理されるには、重苦しすぎる思いがここにはあると感じているのだ。