3枚ECM聴いた

1、ECM「Parish/Thomas Stronen」 Bobo Stenson(p)とFredrik Ljungkvist(ts)がいる。静謐漂う即興的演奏と、ドラムがリーダーなので打楽器の(ECM的)多彩感を推しだした作品。ハッとする瞬間もあるんだけど、ぼくにとっては基本的に眠気を誘う音楽である(聴きながらいつのまにか眠っていたが、それは充実した眠りになった)。7曲目や13曲目が(ジャズっぽくて)良いんだけど、そこへ至る前に入眠確実。7曲目のようにペダルを効かせない乾いて訥々としたピアノや、北欧的な旋律とか、そっちの方向でまとめれば十分聴けるカルテットだと思うんだけどなー。                                                Parish (Slip)
2、ECM「Garden of Eden/Paul Motian Band」 御代モチアンが続けてきたエレクトリック・バンドのECM第1弾。Tony Malaby(ts)がいる。冒頭からチャールズ・ミンガスの「直立猿人」「グッバイ・ポークパイ・ハット」をはじめモンクやパーカーの曲を挟んでオリジナル曲が並ぶ。リーダーの格が示すのかどうか、地味ではあるがいぶし銀な、エッジを欠いたような水墨画のような…ピアノレスということもあって(かわりに3ギター)、モノクロの基本的には地味な演奏。よく聴きこむと各自渋いソロを取っていたり、曲調もまとまりがあって良いアルバムだと思う。でもタイトルがエデンなだけあってやや抽象的で、ギターが催すモヤ〜ンとした楽園感が、どうにもなじめないという部分もある。
                              ジャケットがかっこいいGarden of Eden
3、ECM「Shades of Jade/Marc Johnson」 「非ECM的/普通的」ジャズ作品。これが一番気に入った。やっぱり普通的ジャズ、だからでしょうか笑。まずパーソネルがJoe Lovano(ts)、John Scofield(g)、Eliane Elias(p)、Marc Johnson(b)、Joey Baron(ds)、Alain Mallet(org)という豪華な顔ぶれ。イリアーヌの参加が凄いですが、ECM初だということ。そのイリアーヌ作の6.「Snow」という曲が素晴らしい。9.「All Yours」も含めてトリオ曲なんだけど、トリオの出来が一番良いんじゃないかと思う。イリアーヌのピアノ、好きだー。ちゃんと輪郭があって、それでいて音に丸みがあって円やかだ。このアルバムはイリアーヌとその夫(結婚したんですよね?)マーク・ジョンソンの共作作品であって、冒頭の曲はクールジャズの響きを持ち、「Blue Nefertiti」なんていうタイトルの曲やオルガン・ジャズのような曲もあって、中途半端に雑多なイメージを持つが、イリアーヌの曲が素晴らしくてじゅうぶん聴ける。そして「Snow」で聴かせてくれる(マーク・ジョンソンがらみで書けばビル・エヴァンスとはまた違ったアプローチでしかし同じような音楽の高みを感じさせる)ピアノでもって、この作品は名盤であると断言してしまおう(ECM的には中途半端だけど)。そしてイリアーヌ、好きだ〜。
                                         Shades of Jade