Mads Hansen/Grooves

同じStunt Recordsから出た「Mi Ritorni In Mente」「GLEDA」でStefano Bollaniのサイドメンとして丁々発止の演奏を楽しませてくれたJesper Bodilsen(b)とMorten Lund(ds)を目当てに購入。リーダーはMads Hansen(sax)、衒いの無い正統派サックス。
イエロージャケッツ風の冒頭曲にムムッ!?となるも(なるほどジョン・スコにデディケートされた曲だそう)、ペダルスチール・ギターが加わった2,4を聴くと、このアルバムが鮮やかな(アメリカの雄大なる大地のようでもあるし、トロピカルな地中海の風のようでもある)色彩をたたえているのを感じる。3のようなファンキー・チューンやファンキー・グルーヴな5、正攻法的な6や7など、ややもするとごった煮、リーダーの色気が出た感も否めないが、そこをオトコの汗臭さでアルバム一枚にギュギュッとまとめてしまう結束感がこのグループのキモだと思う。個人的には6「Big Step Waltz(コルトレーンジャイアント・ステップスの手法に挑戦、とある)」の美しさ(このときのカルテット形態に強固な一体感をみる)と8「MR.001(これは笑 ジェームズ・ボンドのテーマのひとつ、とある)」のファンキー・グルーヴを推したい。
あとはアルバム全体で音楽をキュッと締めるMorten Lundと地味だけどここぞというときにはグッと存在感を見せ付けるJesper Bodilsen。最高です。特に7「Circus」でのLundの精緻なドラムはゾクゾクしてしまう。この人が叩けばシンプルな8ビートも、嬉しくてしょうがない。

…いやはや、「MR.001」のリズム隊はオトコだね。Bodilsenのゴリゴリくるベースに惚れた。キープ&キープの秘めたる凄み。一日中(特にベースライン)頭がいっぱいになる曲って、久しぶりだ。あとはやはり「Big Step Waltz」のピアノのイントロ。この世のものと思えない危うさを秘めた美しさ。何とも言えないなぁ。やはりベースの動きが良い。