最後にマイルスの「Bye Bye Blackbird」が流れたときにゃ、さすがにちょっと涙腺がゆるみましたね。これ本当によく聴いたもんなァ。サニーデイ・サービスまで繋がるんですよ。
ぼくは菊地さん大谷さんに、音楽に対する基礎体力をつけてもらいました。今まで聴いたこともない(聴く機会の無い)、聴く気にもならなかったであろうこの世界に溢れかえる音楽を、新鮮な視点で見、聴くことが出来るようになりました。同時に知を志向する基礎体力も。菊地さんは表面的にはスノッブだとか表現されて、鼻につく人がいるのだろうし、ぼくにとってもややもすれば好きじゃないタイプの人に見えたかもしれない。でも根底にあるのは、あの素っ頓狂な笑い方に見られるように「おン面白えぇっ」っていうシンプルなところだと思います。「何だかわからねえけどとにかく面白い」っていうのがなければ、知へ向かうことは出来ないでしょう。ぼくが彼らの笑い声を聴いて嬉しかったのは、ただ面白くていいんだってことです。本当、日常で気持ちよくゲラゲラ笑うのがどれだけ良いことか、実感させられました。ぼくもエントロピーの増大に逆らわず生きていけるようになりたい。