美しい音楽が聴きたい。自分(愚昧で世間知らずで経験不足で地位も財産も無くて生まれてからの二十数年をすべて棒に振って極度の近視でというのが延々それこそ死ぬまで続くのであろう)という入れ物を忘れさせてくれるような。
で、「Rainwaltz」(タイトルのセンスが素晴らしい)。アメリカのピアニスト、フレッド・ハーシュの作曲で、グーグルで検索するとIvan Paduartの名前が挙がる。フレッド・ハーシュ曲集である『Clair Obscur』をはじめ、2枚あるライブアルバムの両方にクレジットされている。よっぽど好きなんだろう。確かに良い曲だ。
で、ライブ盤として2枚目に出た『A Night In Tokyo』。布団に潜りながら聴いていて、その美しい曲想とどれも同じような曲想(Ivan Paduartの曲・演奏は、美しいけどただ美しいだけではなくて腹の底にぐっとくる説得力、コクがあるように思う/でもどの曲も同じような感じ。ただそれが嫌なわけではない)によってまどろんでいたら、突然覚醒がやってきて、急にIvan Paduartの演奏が投げやりな感じに聴こえてきて、もしかしてやる気なくなって適当にやってるんじゃないだろうか。トリオの連携がうまくいってないんじゃないか。と思いはじめ、心臓がどきどき打って眠れなくなってしまった。ただでさえ美しい旋律と曲想を持っているから、ライブになるとちょっと粗くなるんだよね。同じような曲がはじめから終りまで続くのでライブ盤としての物語性が薄く、夜の底で淡々と鳴っている音楽のように思えて気が滅入ってしまった午前4時だか4時18分だかだった。失敗だ(後で聴き返してみたらちゃんと良い演奏だった)。
Ivan Paduartといえば最近毎日聴いているといっていいアルバムがある。