2011-05-06 ■ 町田康の小説「告白」のラストシーンを、ずっと考えている。 主人公の熊太郎は最後に自分の不遇な人生の理由をあれこれと言葉で並べたてながら、結局のところ、 「あかんかった」と一言つぶやき、銃の引き金を引く。 「あかんかった」己の人生を一言で表わすのにこれほど的確な言葉があるだろうか。何がどうなったから、ということではない、すべては自分が自分であって、その自分が「あかんかった」のである。 自分の最後のときも、この言葉をつぶやくのだろうか。たぶんどんな言葉よりもしっくりくるだろう。