Phil Woods/Voyage

Voyage

ああー、良い。「I'll Be Around」の流暢なメロディに聞き惚れ、「Trouble Is A Man」のゆったりとした流れに"Our Jazz Is Here to Stay"と確信する。
御代フィル・ウッズが水を得た魚のように何と元気なことか。瑞々しいこと甚だしく。ビル・チャーラップ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ウィリー・ジョーンズⅢ(ds)とリズム隊も若いのに、そのサポート、そのスイングぶりは達者。さらには曲によってロイ・ハーグローブ(tp)も加わってホットにスインギーにバップが楽しめる素晴らしい盤。
時の流れを乗せてゆったりと泳ぐ麗しき御代のアルトを際立たせ、華を添え、みずからもうっすらとまばゆく光を放ち潤う音を奏でるリズム隊に傾聴していただきたい。「これがジャズだ」といって他に言い様があるだろうか?「ジャズ」というひとつの奇跡を前に、溜息を吐きながらあるいは目を潤ませながら、ぼくは耳をそばだてる。