Karl-Martin Almqvist

今年最初の銀盤紹介は、スウェーデンのサックス吹きカール=マルティン・アルムクヴィスト。

以前に紹介したMathias Landaeusのカルテットに参加していた彼の飄々としたサックスが何となく耳に残っていた。これは彼の初リーダー作。
ベースにFilip Augustson、ドラムスがMathias Landaeus Quartetで共演したSebastian Voegler、そしてピアノにJan Lundgrenである。ラングレンは今や押しも押されぬスタープレイヤーだけど、最近は守りに入ってしまっているのではないか。とはいえ最近の盤は殆ど聴いたことないのだけど。欧州盤の「Landscapes」は良い感じだったな。さてここではどうか。モーダルである。端正で澄みきった、素敵なピアノを聴かせてくれる。アルウクヴィストとは同郷、ヨーロッパの洗練された響きが何ともしっとり。その筈9曲中8曲並べられたアルムクヴィストのオリジナル曲が良いのだ。先のMathias Landaeus盤で飄々としているけれどフレーズの中に何気ない近親感があり、曲想にぴったりと寄り添っている感じがしたのだが、これは当たりじゃないか。タイトなVoeglerにも小躍り。
で、9曲目「Fly, Fly」を聴いてください。ラングレンの弾くイントロが凄い。背筋がゾクゾク来る。ラングレンに故郷の民謡を弾かせたら(たとえば「リテン・カリン」とか)間違いなく一級品だと思うけど、この曲にもそんな響きがある。ラングレンにはモーダルになりきれずどこかしら浪花節的な(そこまでいかないけど)コードが出てくる、というイメージがあるのだけど、だからこそこういった愁いを帯びた故郷の歌をやらせると良いんじゃないか。少なくともそういう回帰的な安定感を持っているという側面はあるように思う。この盤もヨーロッパの叙情性の濃い霧の中から「ジャズ」という枠組みにグッと引き寄せる巧みな力を付与している。
それにしてもまた良い人見つけた。今年もいろんなジャズ、そしてジャズに限らずいろんな音楽を聴いてみたいと思います。