SWV/I'm So Into You
ミドルテンポで、グルーヴィでスウィートなナンバー。タイトルの通りとてもスウィートなのだけど、ぼくに「真夜中の静かな死」を想起させる。というか、ぼくにとって多くのR&Bは、「死」のイメージを持っている。それは途轍もなく遠くの、つまり永遠と同義であり、決して手に触れることが出来ないもの、である。エレピの甘い揺らぎやバスドラの曇った蠢き、ギターが喉の奥をくすぐるように奏でるリフや乾いて跳ねるハイハット、ボーカルのくねり絡まって生み出す妖しいグルーヴ、そんなサウンドすべてが、ぼくの抱く「死」のイメージにつながっている。村上春樹が何かの著書で「夜という時間は呼吸をし、どこまでも伸長する」というような言葉を書いていたけれど、ぼくも実感としてわかるような気がする。朝起きても続く夜、陽が落ちゆく時間に首をもたげる夜。R&Bはぼくとぼくの夜とをダイレクトに結びつけようとする。そのスウィートでダークな魔力。甘い疼きと絶望と渇望で、ぼくを満たしてくれる。