Stories/Fini Hostrup Trio

ああもうヤダなぁ。またしても最後の曲にやられてしまう。グレイプバインの「ふたり」やサニーデイ・サービスの「24時」やシャーペンの「夜のTシャツ」なんかはJ-POPということもあるし?思い入れもたっぷりだから許せるんですよ。でもそのある意味わかりやすさというか満を持した感が我が高尚なりジャズにも顕現してしまうということに辟易いたします。そのワタシの聴き方に、ということです。わかりにくいけど。でもまあ良い曲なんだから仕方ないやな。
バラードからはじまってアップ・テンポの曲、またバラード、とおよそ交互に並べてあり全15曲。すべてFini Hostrup作曲。このHostrupという人、デンマークのピアニストなのだそうだけど、映画音楽や舞台音楽を多く手がけてきたそうでジャズの世界ではデンマークのシーンに明るい人以外には知られていなくても無理はないだろう、とのこと。でもサイドメンにMads Vinding(b)とAlex Riel(ds)を従えての録音だから実力はお墨付きなのだろう。現にどの曲もオーソドックスな北欧ジャズ、地味ではあるが実に丁寧に弾き込まれていて味がある。ただ前半はちょっとヌルい。ヌルいなぁ、と思って聴いていると、だんだん良くなってくる。そして最後には、珠玉の名曲が待っている。
「Plug Out」。なんて美しいテーマだろう!とにかく素晴らしい。軽快なリズムに乗るその豊かで哀しげで愉しげなメロディは、ぼくの心にまとわりついて離れない。多少ロマンチックに過ぎるかもしれないが、とても良い曲だ。こういう曲があるからホント北欧盤探しはやめられない。
サイドメン(アレックス・リールって手数が多いくせに何か重ったるい、という勝手なイメージがあって敬遠している節があったのだけど、やっぱり良いドラムを叩きます)とSTUNTから出ているということで購入したけど、なかなか出回ってないんじゃないか、と思う。もし機会があったら是非手にとっていただきたいと思う。試聴が出来ればいいな、と思って探したけど見つからなかった。