Eliane Elias/Dreamer

Dreamer
個人的には、イリアーヌにはビル・エヴァンスと同じ種類の音楽に対する誠実さ、ひたむきな真摯さを感じる(詳しくないのでよくわかりませんが。どうなんでしょう)。エヴァンスからは「死」を感じ取るが、イリアーヌの旋律には「生命」を感じる。衒いの無いストレートなメロディが、ぼくの(祝福を遠く失ったような貧しい)心にさざなみのように静かに響くのです。過去から現在へ続く思いをありのまま旋律に託し、素朴に美しく奏でるイリアーヌのピアノが好きだ。
「Dreamer」(http://www.amazon.co.jp/Dreamer-Eliane-Elias/dp/B0001LYF22)は冒頭の「Call Me」(Youtubeにライヴの動画アリhttp://www.youtube.com/watch?v=1835c4ZRlGc)や、ストリングスが入って甘く大きく歌い上げる「That's All」(まるで夢のようだ!)、薄く入るストリングスとピアノの静かな協奏「Time Alone」など、バラードが出色。全曲ジャズアルバムというよりもボサノヴァの伸びやかな空気に包まれている。月並みだけど、トロピカルな異国の香り、異国の夜明け…、異国の風…、何か思い出せそうだ…思い出すことなど何も無いはずだけど。
あとブックレットに申し訳なさそうに小さくスイングジャーナルのマークが付いている笑。イリアーヌの「才色兼備」的なところにマークを打ったのなら憤慨ものだけど、きっとオジさま方の感性にもぼくが届くものがあったに違いないと信じる。ぼくの感じたやさしさと哀愁、と相通ずるものが…それとも俺がたんにオヤジ化しただけのような気がする。すぐに「哀愁」をもってくるところとか。